2004年11月21日
風邪2
今回の風邪の猛威はまことに甚だしかった。平常は三十六度に満たない体温の私だが、若先生によれば三十九度を超える熱が出ているそうで、強い薬を出しますけれど、まだ数日は相当厳しいでしょうね。もし、あまりに苦しかったら、点滴を処置しましょう。その時には、こちらから伺いますよ、と暖かい言葉をいただいた。
その高熱のおかげで、ここ数日、私は多くの幻想を眺める幸運(?)に恵まれている。尤も、熱に浮かされて観る幻想は、幸福な楽園を描くようなものではなかったけれど、常を逸脱した強烈な色彩と有り得べからざる空間感覚を齎した。未だ嘗て味わったことのない世界である。眠っている間に見る夢とどう違うのかと問われたとしてもきちんと説明できはしないのだが、敢えて言うのなら、夢は見るものであり、この度の幻想は見せられたもののように感じられた、ということだろうか。
紫や緑、だいだい色の原色の塊のようなものがびゅんびゅん飛び交うのである。それは、さながら12色入りクレヨンのジャングルとでも言うべきか。兎にも角にも、くっきりとした色の塊が、スライムのように変形しながらびゅうんびゅううんと頭上を飛び交い、時には、我が肉体を突き抜けるのである。勿論、その際に、痛みも痒みも快感も、何も感じるものではない。ただただ、とてつもない勢いで色の塊が私に向かって飛んできて、突き抜けて、飛び去るのを見るばかり。いや、見るのではない。感じるのである。いや、感じるのではない。ううむ、何だろう。何と説明すれば良いのか。
音はない。自分の中に本来あるべきはずの鼓動や呼吸の音もない。味もない。匂いもない。何の気配もない。一体、私はどこへやってきてしまったのだろう。
気がつくと、溢れかえる光の洪水の最中、呆然と立ち尽くす私であった。
投稿者 nasuhiko : 2004年11月21日 00:00
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