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2005年04月09日
桜の下を歩く
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体調も大分上向いてきたので、暫く振りに長めの散歩に出る。満開の染井吉野。名所という訳でもないのに、樹下に陣取って杯を酌み交わす人々がいる。花見というと、大勢連れ立って、騒々しくやるのが一般化してしまっている。酔狂とはよく言ったもので、酒を呑み、酒に呑まれ、老いも若きも相揃って燥ぎ興じる姿は、日本を代表する景色の一つだと言っても良かろう。羨ましい気持ち、微笑ましい気持ち。はたまた、些か鬱陶しい気持ちを持つことも、なくはない。
大宴会、それも良い。けれども、花弁がひとつふたつ、はらりはらりと舞うのをゆっくりと目で追いながら、静かに呑む酒も悪くない、とも思う。私にそんな相手がいるだろうか。思いつかない。結局、一人でやるしかないのでしょうなあ。我が荒屋からそう遠くない広場の桜の樹の下のベンチで一休み。病み上がりで、ちょいと歩いただけで、すぐに息があがってしまう。情けない話である。
猶も、ふらりふらりと散歩を続ける。穏やかな光とゆったりとした風が気持ち良い。誇るように満開の花も良いけれど、散る花も結構ですな。大風でざばざばと振り落とされるのは味気ないけれど、今日のような、のんびりとした風で、思い出したようにはらはらと舞い落ちる花は名状し難き風情がある。しかも、これが良いのは、散ったあとには、新緑が待っているというところにある。一頻り、華々しく世を謳歌した花は、新しい緑に場所を譲る。未来に向けて散るのであります。この見苦しい生き様の老い耄れは、その潔い姿に興趣を感ずる、というより、憧れるのですよ。私は次の時代の人々のために何かを残しただろうか。颯爽と道を譲っただろうか。そんなことを思うと、薄桃色の花弁に、甘酸っぱい回顧の念を引き出されるのであります。ああ、そんな春の午後。
投稿者 nasuhiko : 2005年04月09日 18:32
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